Matsuo Laboratory

有限要素高周波解析ソフトウェアと並列処理

電磁波計算手法の新展開

別の項で述べましたように,本研究室では有限要素法などで現れる大規模連立方程式に対する線形解法について研究・開発を行っています。それに関連して,並列処理を活用する有限要素高周波解析ソフトウェアについての研究開発にも取り組んでいます。

高周波解析では電磁波の伝搬を記述する波動方程式を扱います。最近では電気電子機器についてEMCの重要性が指摘される場面が増えており,この種のシミュレーションソフトウェアに対する要望も高まっています。

一方,並列処理とは複数のプロセッサを同時に活用して計算を行うことです。現在,スーパコンピュータと呼ばれる高性能計算機のほとんどは,並列計算環境を構築しています。また,最近では安価なPCでもマルチコアプロセッサが急速に普及していることもあり,大規模高速シミュレーションの分野でも効率的な並列処理の重要性が増しています。

そこで本研究室では,マルチグリッド法と呼ばれる線形解法と並列処理の活用を特徴とする高周波有限要素解析ソフトウェアについて研究・開発を行っています。研究開発の第1段階として,マルチコアマシンなどの共有メモリ型環境を対象にした並列マルチグリッド法を開発しています。この過程で,節点ベースブロックマルチカラーオーダリングと呼ぶ計算手法を提案し,マルチグリッド法の効率的な並列処理を可能としました。

今後は,スーパコンピュータで主流となっている分散メモリ型環境を対象として,研究を進める予定です。

2009.2.23 更新